ENDEAVOR(慎孝水産)
ENDEAVOR(慎孝水産)
舞鶴市長浜のENDEAVORは、干物に特化した水産加工業者だ。代表の松田慎平さんが「多くの人に魚をおいしく食べてもらいたい」という思いを込めて作るのが、「ソフト干物」。血抜きや熟成を経て、特殊な乾燥機でふっくらとジューシーに仕上げる。魚特有の臭みを抑える一方、うまみは凝縮。魚が苦手な人でも食べやすいという。
釣りから干物へ
松田さんは大阪出身。舞鶴での干物作りの事業にたどり着いたのは、釣りがきっかけだった。 子どもの頃から釣りが好きだったこともあり、大学卒業後は釣具店に就職。入社して数カ月後、舞鶴の店に転勤となった。ここで来店客に喜んでもらおうと始めたのが、魚を使った料理レシピの紹介。ネットなどで調べ、おいしく魚が食べられる方法を探り、好評を得た。 本来の仕事である釣具の販売とは違った、「食」の分野でやりがいを感じるようになった。「おいしいものをもっと発信したい」と考え、独立開業を決意。8年間勤めた釣具店を退職し、20年にENDEAVORを立ち上げた。29歳の時だった。
ENDEAVORの「ソフト干物」
起業に当たり、進化の余地がある加工品として着目したのが干物。昔から保存食として作られてきたが、冷蔵・冷凍技術が発達した現代では「保存期間」よりも「味」を追求することで、よりおいしいものを商品化できると考えた。
現代の技術で乾燥
「ソフト干物」は、現代の技術を用いて作る。専用の乾燥機は20度ほどに保った庫内で魚を低温で乾燥させるとともに、乾燥中にオゾン光を照射することにより殺菌や消臭も行う。水分を飛ばしすぎないので、凝縮されたうまみがありながらも、食感は「ソフト」に仕上がる。 また、乾燥前の工程でも差別化を図る。血抜きと洗浄をしっかりとすることで臭みを抑制。そして、おいしさの決め手になるのが熟成だ。魚の大きさや種類によって異なるものの、3~5日程度の熟成期間を持たせることでうまみを引き出す。ただし、「タイミングを誤れば腐ってしまう」と松田さん。適切な期間を見極める技術があるからこそ、できることだ。
缶詰を共同開発
「海の京都」の事業者との連携により、一風変わった干物商品も誕生した。京丹後市の合同会社tangobar(タンゴバル)と共同開発した缶詰だ。「ソフト干物」をオリーブオイルや赤ワインなどで漬け込んだもので、缶詰なので常温で長期間保存できる。 「海外にも売っていきたい」。松田さんは力を込める。 ENDEAVOR自慢の一品をぜひ海の京都市場でお求めください。
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