株式会社 凡愚

株式会社 凡愚

特殊な冷凍で本来のおいしさ

舞鶴市北田辺の㈱凡愚(ぼんぐ、水谷幸夫社長)は、飲食店と仕出しの事業で培ってきた「食」の技術を生かし、加工食品を展開する。カニやブリ、マグロ、サザエなどを使った商品を開発しており、いずれも手間を掛けずに食べられるのが特長だ。特殊な冷凍技術により、本来のおいしさを保った状態で消費者に届ける。

飲食店から仕出し、加工食品へ

同社の創業は2004年。飲食店「凡愚」として始まった。当初はうどんとそばを中心にしていたが、舞鶴らしさのあるものを提供しようと、徐々に海鮮を中心に地元食材を用いたメニューを増やしていった。また、より多くの人に自社の料理を味わってもらえるように、仕出しにも注力。店舗を増やすとともに配達エリアを広げながら、和食を中心にした「食」の事業を拡大してきた。ただし、店舗は来てもらわないと料理を提供できない。仕出しは配達できるエリアに限度がある。

加工食品の事業拠点となるセントラルキッチン

こうした壁を乗り越えようと着目したのが加工食品。21年秋、事業拠点であり、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」に対応したセントラルキッチンが完成した。

強みの「プロトン凍結」

強みとなるのが、「プロトン凍結」ができる急速凍結機。電磁波と冷風を組み合わせて食品を凍結させるもので、凍結時に細胞が壊れるのを防ぐため、鮮度やおいしさを維持できるという。冷凍であれば遠方でも商品が届けられる。全国へ向けて販売できる態勢が整った。 「プロトン凍結」ができる急速凍結機  加工食品は、プロトン凍結と食材の相性を考慮して開発する。野菜などの中には使いづらいものがあるものの、海産物は問題なく使えるケースが多く、プロトン凍結との親和性は高いという。必然的に「さかなの街」らしさのある海鮮商品が中心となり、お取り寄せやふるさと納税の返礼品を中心に商品を生み出している。

自信の「海の宝石 ちりめん海鮮丼」

信の「海の宝石 ちりめん海鮮丼」  「食べれば、確実に『おいしい』と言ってもらえるのでは」。店舗運営や仕出し、商品開発などを統括する凡愚部長の小林裕樹さんが自信を持つ商品がある。「海の宝石 ちりめん海鮮丼」シリーズだ。一般的にイメージされる海鮮丼とは違って独自性があるもので、「海の京都」の事業者が編み出した特殊な製法を用いて商品化した。  商品は海鮮丼の具材。凡愚の他の加工食品と同様に冷凍での販売だが、大きく異なるのが解凍は不要であることだ。具材はフレーク状になっていて、凍ったまま熱いご飯にかけて食べれば、トロっと口の中でとろけるように海鮮のうまみが広がる。プロトン凍結の特長を生かした商品シリーズであり、マグロやアオリイカなどのバリエーションがある。  ただ、特殊な商品ならではの課題がある。「普通の海鮮丼とは違うのに、それが伝わっていない。もっと多くの人に知ってもらう必要がある」と小林さん。現状では知名度が低いものの、これまでにない手軽さと味わいがあるだけに、「海の京都」の新たな名産品になり得るポテンシャルを秘めている。

「海の宝石 ちりめん海鮮丼」はこちら ←リンク

ブリしゃぶ

 「海の宝石 ちりめん海鮮丼」シリーズとともに寒い時季に旬を迎えるブリも好評だ。脂ののったブリを熱いだしにさっとくぐらせ、おいしさを引き出す「ブリしゃぶ」を商品化しており、プロトン凍結により家庭でも簡単に店の味を再現できる。「海の京都」の名物料理が、全国に届けられるようになった。

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「手軽」が売り

このほかの商品も、売りは「手軽」であること。例えば、サザエのつぼ焼きは自家製つゆで加熱調理してあり、冷凍のまま電子レンジで温めるだけで食べることができる。

「サザエのつぼ焼き」はこちら ←リンク

今後もこうした商品を拡充していく方針で、小林さんは「季節を問わず、通年で食べてもらえるようなものも商品化したい」と意欲を見せている。 地元の魚介の魅力を全国に発信する凡愚の商品をぜひ賞味していただきたい。

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